──素朴さと職人技が光る、静寂のゲストスイート
地元産のパロタ材などを使った造作家具が、削ぎ落とされた素材構成に温かみを添えるこのアプローチは、プールを挟んだ向かいに位置する9室のゲストスイート全体に一貫して用いられている。
プールビューを避け、各室はプライバシーと日射のコントロールを優先して配置。1階の6室には小さな庭が、上階の3室にはテラスと屋外バスタブが備わる。バスルームやシンク、収納、ベンチに至るまで、すべては現場打ちのコンクリートで形成され、置き家具はほとんど不要だ。




── 滞在の記憶を持ち帰る、心地よさを生むメキシコの手仕事
唯一の可動家具は、開発を手がけたSurreal Estateの共同創業者 Daniel Cinta(ダニエル・シンタ)の発案により、Puebla(プエブラ)や Guadalajara(グアダラハラ)、Oax aca(オアハカ)の職人たちの創造性を示すために特注されたもの。現地のデザイナー、Tiago Solís Van Beuren(ティアゴ・ソリス・ヴァン・ベーレン)による竹製チェアをはじめ、それらの家具は空間に温かみとテクスチャーをもたらし、フェアトレードの仕組みでゲストが購入することもできる。
メキシコのスタジオ Natural Urbano(ナチュラル・ウルバノ)によるデザインのターコイズブルーに仕上げられたメタル製のランプや、イエロー、グリーン、ブルーのアクセント小物が空間に彩りを添える。全体として装飾は抑制され、僧院のような静謐さが漂う。それは、ゲストに内省やスローな滞在を促すためでもある。


また、スキンケアにはメキシコ発のブランド〈For All Folks(フォー・オールフォークス)〉の製品を採用。カレンデュラなどの植物の再生力に着目した処方が用いられている。だが、建築家 Godefroy 氏にとって真のラグジュアリーとは、こうしたディテール以上に『完全に隔絶された感覚』だという。
「繭のような空間に包まれる感覚を目指しました。だから、誰も外に出たくなくなるのです。」と、彼は笑って語った。
INTERIOR DESIGN Magazine, November 2022
English text: Alyn Griffiths
Photography: Jaime Navarro